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「パナソニックV字回復の真実」の著書、平川紀義さんから、とてもタメになる話を聞きました。

平川さんは営業でした。

お客さんから10%の値下げをしてくれと、要求がきました。

普通の営業マンは即答せずに、社内にもちかえって検討します、と言います。

 

また、こんな無理難題言いやがって。

値引きすれば売上も利益も落ちてしまう。

ただでさえ毎年の売上のノルマを伸ばさなくてはいけないのに。

こんな後ろ向きのことで、足をひっぱられて、えらい迷惑だ。

ここの担当になって、アンラッキーだったな。

担当替えてもらうように、上司に直談判しよう。

 

そんな思いで上司に報告します。

営業部だけでは決められませんから、社内の製造部門にも伝えます。

すると、そんなのは無理だ、と即答です。

営業部としても売上が下がるのは、望んでいません。

すぐに値引き対応しないからといって、取引を切られてしまうこともないだろう、

ここは、少し様子を見よう、ということになります。

 

何も決めずにダラダラしていると1ヵ月、2ヵ月がすぐに経ってしまいます。

そろそろ、回答しないとマズイと思った営業マンは、上司にお願いして、

営業部と製造部門の合同会議を開いてもらいます。

 

この会議での結論が、社内の合意事項ですから、結果がどうあれ、個人の責任にはなりません。

たとえ、その取引先から切られたとしても、それは社内の合意で決めたこと。

営業マンの責任ではありません。

成績が下がっても言い訳がたちます。

今回の無理な値引きを考慮してくれて自分のノルマが下がるわけではないことは、

十分わかっています。

でも、これはオレのせいではない。

目標達成できなくてもしょうがない。

だいたい社内全体で決めたことだし。

そんな言い訳が心の中に芽生えます。

 

会議で出た結論は、2%で対応しようということでした。

その結果をもって、上司と同行して、営業マンはお客さんに報告します。

 

お客さんの反応は?

当然、激怒です。

2ヶ月も待たせて、よい報告が聞けるのかと期待していたら、たった2%だと!

ふざけるな、オマエのとこなんか切ってやるぞ!

 

でも、それは、心の中で思ったこと。

営業マンの横に、彼の上司がいるから、感情を表情に出すのは、みっともない。

でも、この不誠実な対応にはガッカリ。

いつか切ってやろう。

お客さんは、そう心の中で誓いました。

 

と、まあ、普通の営業マンなら、こんな感じでしょう。

かく言う私もそうでした。

 

お客さんが理不尽なことを言ってきたのが悪い。

オレは悪くない。

むしろ被害者だ。

そんな感覚です。

 

でも平川さんは違いました。

 

お客さんから5%の値引きを要望された時、平川さんは即答します。

 

要望はわかりました。

私は最善をつくして今から動きます。

そのかわり、〇〇さん(お客さん)にも要望があります。

10%の値引きを成功させるために、

〇〇さんにも御社内で動いてほしいのです。

10%のうち私は5%の責任をもちます。

〇〇さんには残り5%の行動をとってもらいたいのです。

 

この話を聞いた時、スゴイなと思いました。

こんなことを即答できる営業マンは、そうはいません。

もちろん、それまでに、お客さんとそれだけの人間関係をきちんと作っていたから

言えることだったのかもしれません。

 

普通の営業マンと平川さんの違いは、

お客さんからの無理難題を「自分事」として引き受けたことです。

 

普通の営業マンは、えらい迷惑だと「他人事」として受け取ります。

オレは被害者だというわけです。

 

でも「自分事」として受け取れば、自分でなんとかしなくてはいけません。

そこで、お客さんにも協力してほしいと申し出るわけです。

いっしょにこの問題に対応しましょう、と。

 

お客さん側は、自分たちが言い出したことですから、相手からそう言われたら、協力せざるをえません。

いわば、共犯関係になるわけです。

そうなれば、最終的にこの値引き話がうまくいかなくても、お客さんの側は納得してくれるでしょう。

ますます信頼関係が強くなります。

そのお客さんが、新しいビジネスを紹介してくれるかもしれません。

事実、平川さんは、このことをきっかけにビジネスを拡大することに成功しました。

 

こういった対応は、ビジネス現場での問題解決の方法として、

実行されてきた方も何人かいらっしゃるでしょう。

やったことはなくても、ウンウンと理解できる方法だと思えます。

 

でも、この話の本当のスゴイところは、こんな表面上のことではないのです。

 

当事者意識で無理難題を持ち帰った平川さんに、何が起こったか?

 

この問題を打開するための「アイディア」が天から降りてきたのです(笑)

いや、笑い事ではありません。

 

それは、平川さんの「直観」でした。

 

「直観」にしたがった行動をとることで、何度もこういった修羅場をくぐりぬけてきたそうです。

 

「直観」を行動に移すには、まず「直観」を信じることが必要です。

さらに言うと、「直観」を感じるようにならないといけません。

 

直観にしたがった行動は、なぜうまくいくのでしょうか?

直観には「私利私欲」がないからです。

直観の反対は、顕在意識での思考です。

例えば・・・

どんな方法をとればよいか?

こんな場合のセオリーは?

こんな場合のMBAでのケーススタディは?

こんな場合の前例は?

どうすれば売れるか? 

どうすれば儲かるのか? 

どうすれば損しないか?

どうすればラクできるか?

どうすればうまく切り抜けられるか?

 

いろいろな思考を巡らせます。

このように考えることは

悪いことではありません。

こういった思考は大切です。

 

そもそも、そういった知識がないと、

具体的なことが何ひとつ浮かんでこないでしょう。

 

簡単な問題や、さほど困難ではない問題に直面したときは、

こういった思考パターンで行動すれば、うまくいきます。

 

しかし、私の経験では、難しい問題に直面した場合、一筋縄でいかない問題の場合、

いろいろ考えて行動したのち、自分の思うような結果が得られたことは、確率的には少ないです。

 

下手な考え、休むににたり。

 

ある人に言われました。

いろいろなことを考えるのはよい。

そして、その考えに基づいて行動に移すのもよい。

あなたは、過去、そうやっていろいろなことを考え、決断し、行動してきました。

その結果、今のあなたがあるわけです。

では、今のあなたの状態は、あなたの望んだ結果ですか?

もし、そうでないとしたら、あなたがいろいろ考えたコトや決断、行動は、正しかったと言えますか?

 

うーむ。

たしかに…。

正しくなかったかも…。

 

それを言われた当時は、そう思いました。

 

実は、今なら、そうは思わないのですが、ここではおいておきます。

この話題は、また後日にでも。

 

何事も「自分事」として引き受ける。

相手を協力者として巻き込む。

自分の直観を信じる。

そして行動に移す。

 

これはビジネスの現場だけではなく、

人生のあらゆる場面に応用できる、万能の方法かもしれません