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『パナソニックV字回復の真実』
本書は、創業者である松下幸之助氏亡き後のパナソニックがどうなっていったのか、
そして現在、どのように復活したのか、歴代社長の部下として直下で仕事をするという、
希有の運命の下におかれた平川さんが、
内部の人間しか知りえない情報をもとに、解き明かした本です。
 
パナソニックの人材育成方針は「任せて任さず」だったそうです。
完全な放任ではなく、新人でもギリギリまで自分でやらせる、という手法です。
平川さんは、その中で苦しみます。
以下、本書からの引用です。
 
販売会杜、代理店のキーマンたちとうまくコミュニケーションをとることもできなかった。
しかも、よりによって私の担当地域の責任者は癖のあることで有名な人ばかりだった。
すべてに悩んでいた。仕事に、対人関係に……。
そんな中、営業部長の守随が折をみては声をかけてくれた。
「どうや?」
「どうなってる?」
「どうゆうてる?」
「なんでや?」
質問ばかりだ。いつも答えに窮した。
いまから考えると、そうやって自分で考える癖をつけさせていたわけだ。
困ったことに、私はいつもあとで気づく。
守随はけっして、「こうせい。わしが話したる」みたいなことは言わない。
任せると思ったらとことん任せることに徹底していた。
ある時、苦しんでばかりいる私を見かねたのか、こんなことを言ってくるのだ。
「きみの担当地域な。すごい人ばかりやな。けどなええか。
逃げたらあかんぞ。どんなに癖があろうと、ええ人にはちがいないんや」
「はい」
「とにかく好きになれ。好きになる、とおまじないせえ。そうしとるとだんだん好きになってくるもんや。
不思議なもんやで。仕事も一緒やで」
「……」
「辛い、苦しい。そう思うな。仕事が大好きや。そう思え。ほんまに仕事が好きになる。
好きになるとおもしろくなってくるもんや。
わしを信用せい」
「……」
「きみとわしとどっちが経験ある?」
「そりゃ、守随さんですよ。決まってます」
「そうか。わかっとるんやな。なら、亀の甲より年の功ゆうやろ?
経験のないきみより経験のある先輩のゆうことを信用せい」
(途中略)
しかし、失敗しても失敗しても何度でもよろよろと立ち上がり、一人で向かっていった。
この事業部ではだれも助けてはくれないのだから、一人でやるしかないのだ。
失敗の千本ノックの中、何度も立ち上がることで修羅場に強くなっていった、と思う。
ほとんど折れかけていたわが身を守るため、
失敗の仕方と立ち直り方も知らず知らず身につけていったと思う。
(引用終わり)
 
何か問題や課題にぶち当たっても、走りながら考える、
「行動」ならぬ「考動」がパナソニックでは常識だった、と前回紹介しました。
 
平川さんは千本ノックの中で、何かをつかんでいったのです。
机にすわっているだけでは、この「何か」は身につきません。
行動して体験しないとダメなのです。
ただやみくもに動き回ることには、ムダも多いでしょう。
しかし、それも体験してみないとわからないわけです。
 
本当の「学び」とは、アタマで理解するだけでは不十分です。
カラダで理解すること、つまり「体験」が必要なのです。
 
真の「学び」は、その人に「進化」を与えます。
 
進歩ではありません。
進歩は先に進むことです。時間が経てば、誰でも進んでいます。
エスカレーターに乗っているようなものです。
 
「進化」は違います。
「進化」は「変わる」ことです。
 
今日、この瞬間から「進化」するための一歩を自分の力で踏み出していきたいものです。